伊坂幸太郎さんの小説の魅力は、ストーリー展開から目が離せないだけでなく、登場人物のセリフが読者を魅了するのです。
今回は名言のみに注目。
『SOSの猿』より、独断で5選をご紹介させていただきます。
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『SOSの猿』のあらすじ
家電量販店の店員・遠藤二郎は、イタリアで修行した「エクソシスト」というもう一つの顔を持つ。
遠藤は他人の発する「SOS」を見過ごせない性格だった。
ある日、知り合いの「辺見のお姉さん」にひきこもりの息子・眞人の悪魔祓いを依頼され、辺見家に赴く。
一方、桑原システムの社員・五十嵐真は、20分間で300億円の損失を出した菩薩証券の株誤発注事故の調査を命じられる。
菩薩証券は、ミスの原因をシステムのせいにしたがっているという。
聞き取り調査を始めた五十嵐は、なぜか奇怪な幻想に翻弄されていく。
眞人の部屋で「西遊記」を発見する遠藤。そして五十嵐の前には異形の猿が......。これは現実か妄想か。二つの物語のゆくえはいかに。
(引用:中公文庫HPより「伊坂幸太郎 SOSの猿」)
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【名言1】自己顕示欲、名誉欲、嫉妬、孤独、そういったものは一言で表せる「僕を見て」
「自己顕示欲、名誉欲、嫉妬、孤独、そういったものは結局、突き詰めれば、一言で表せる」
「一言で」
「『僕を見て』と」
(出典:SOSの猿(伊坂幸太郎著))
「自分のことを忘れないで。」
偉い人だって、普通の平凡な人だって、人間には多かれ少なかれこの気持ちはあるんだろうな。
その気持ちが満たされないとき・・・
Aさんは「自己顕示欲」となってあらわれ、Bさんは「嫉妬」となってあらわれるのでしょう。
私は・・?
ん~~、自分のことがいちばんわからないです。
【名言2】子供のことが分からないけど、分かりたい。そう思ってるくらいがちょうどいい
「あの子はあんなに酷いことをやったり、言ったりするような子じゃないんですよ。それはわたしが一番分かってるんです。」と切々と言っていた親が、しばらく日が経つと、「あの子のことが分からない。あんなに愛情を込めて育ててきたのにどうして」と憎しみを浮かべて嘆くことがしばしば、あった。
物事を簡単に断定する人間は、ちょっとしたきっかけで、まったく逆の立場にもひっくり返る。
「では、親はどうすればいいんでしょう」と訊ねた私に、ロレンツォの父親は頬を緩ませ、「子供のことが分からないけど、分かりたい」そう思っているくらいがちょうどいいんじゃないか」と言った。
(出典:SOSの猿(伊坂幸太郎著))
私の子どもだもの。この子のことは私がが一番よく知っているはず?
幼いころは確かにそうかもしれません。
それが思春期になると
「何を考えているんだかさっぱりわからない!」
「昔はかわいかったのに。」
親は悲しくなったり不安になったり。
愛するわが子にに良かれと思ってやったことが
必ず良い方向に向かうとは言いがたいのが子育ての現実だな、と実感しています。
【名言3】人を知るには三つの面がある。一つ目は外から見える様子。二つ目は内面の様子。三つめは?
「人を知るには三つの面があるわけ。一つ目は、外から見える様子。二つ目は、その人が説明してくれた内面の様子」
「三つ目は?」
「心の中の景色そのもの」
「それは誰にも見えない」私は肩をすくめる。
「誰かが、心の中に入って、その光景を録画でもするほかないね」
(出典:SOSの猿(伊坂幸太郎著))
「あの人は明るい人。」
「あの人は冗談ばかり言って楽しい人。」
外から見える様子だけじゃ、人のことはわかりえない。
三つ目の「心の中の景色」
私にしか見えない私の心の中。
それは家族や恋人だって見ることができないんです。
【名言4】いくら優秀でも息子ひとり幸せにできなければ人間として駄目
「やっぱり優秀な人は違いますね」
「でもさ、いくら優秀で、新しいエアコンを開発できても、息子ひとり幸せにできなければ、人間としては駄目だと思うけど」
(出典:SOSの猿(伊坂幸太郎著))
「社会的役割」と「家庭内の役割」
そのバランスに悩みながら子育てをしてきた身としては、この言葉にグサリときました。
【名言5】自分は何でもできるはず。その期待は大人になればなるほど失望に変わる
自分はもっと良い人間であるはずだ。もっと強い人間であるはずだ。何でもできるはずだ。
若者には、自分にそう期待する力と無邪気さ、権利があります。
ただ、大人になればなるほど、期待は失望に変わります。自分がどういった人間であるのか、把握もできるわけです。
(出典:SOSの猿(伊坂幸太郎著))
大人になるまでに人はいくつのモノを諦めるのだろうか?
多くのモノをそぎ落としたあと、人生の終盤にに残るのは何なのか?
この記事では名言のみに注目させていただきましたが、一気読みしたくなるストーリーの小説です。
未読の方、いかがですか?
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今回は以上です。
ありがとうございました。