質問です。
あなたは他人に「協調性がない」とか「空気が読めない」と言われたことはありますか?
自分では考えて行動しているつもりなのに、
そう言われたら落ち込みますよね・・・。
それでも人間関係うまくやっていこうとネットや本で解決法を探しながらがんばっているのに、
まただれかに同じ指摘されたら、本当にどうしていいかわからなくなります・・・
空気を読む脳(中野信子著)を読みました。
中野信子さんのご紹介
脳科学者
脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。
ベストセラーとなった「空気を読む脳」「人は、なぜ他人を許せないのか?」など多数の著書がある。
中野さんによれば、空気が読めないと言われちゃうのって、脳のせいなんですって!
脳のしくみがわかれば、悩みの原因がわかります。
・あなたが感じる生きづらさ
・日ごろ疑問に思う他人の行動
・現代日本の諸問題
全部脳のせいだとしたら、気持ちが楽になりませんか?
この記事では本書から得た知識を整理して、脳科学の視点から現代日本人の悩みの原因をわかりやすくしてみよう思います。
ではさっそくいきましょう!
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日本人は幸福度が低い
”幸せホルモン”って聞いたことがありますか?
「セロトニン」といって、精神の安定や安心感の源になる脳内の化学物質です。
毎朝日光を浴びてセロトニンを増やすぞ!
日本人は遺伝子的に、セロトニンの量を調節してくれる”セロトニントランスポーター”ってのが、世界の中でも少ないんだそうです。
つまり日本人は幸福度が低い民族ということ。
なんだか悲しい⤵⤵・・と思いましたが、あながちマイナスばかりではないみたいですよ。
幸福度が低いと長寿になる
「幸福度が高い」とは具体的にどういうことでしょう?
どれくらい陽気で楽観的な性質かということだと筆者は述べます。
ということは、
幸福度が低い日本人は
☑悲観的になりやすい
☑まじめで慎重
☑粘り強い
遺伝的性質をもっているということになります。
一方、スタンフォード大学の研究によると、
長寿者に共通する「性格」は、良心的で、慎重で、注意深く、調子に乗らない、まじめで悲観的な性格だそうです。
これ、まさに日本人が遺伝的にもつ特徴そのものですよね?
参考
スタンフォードの研究で興味深い結果をもう一つだけ。
定期的な医療検査・サプリメント・適度な運動・緑黄色野菜の摂取などは長寿に関係はない。
真面目で悲観的な性格が長生きとの相関性が高い。
(陽気で楽観的に人は長生きしていない。)
リスクを見極めそれを回避できたり、不安を力に変える能力があるから長寿なのです。
日本人の「空気の読み方」とは?
自分の損得より社会性を優先する
日本人は「集団の結束」を「個人の意志」より優先することを美徳とする傾向があるそうです。
本能的には、自分が生き延びるためには個人の利益や都合を優先したいはず。
それに反してまで利他的な行動をする人を、素晴らしいと思ってしまうのです。
危険な側面ももっているので注意です。
第二次大戦中の特攻はこの性質が強く表れています。
「醜くても勝つ」より「美しく負ける」を好む
なりふり構わず勝ちにいくのを、日本人は「醜い」と感じます。
対照的に勝ち負け以外の何かを大切にする行為は「美しい」と称えます。
【例】
・歴史上の人物で人気があるのは、悲劇的に人生を終えた人(真田幸村、白虎隊、赤穂浪士、諸葛孔明など)
悲劇性をもった部分に美しさを感じ、肩入れする傾向がある。
・サッカーW杯での敗戦後、日本チームが使用したロッカールームが選手たちによって美しく清掃され、サポーターがゴミを拾って会場をあとにしたことが、多くの日本人の共感をよんだ。
不正をした相手に制裁を加えたがる
記事の冒頭で「日本人は遺伝子的にセロトニンの量を調節してくれる”セロトニントランスポーター”が少ない。」という話をしました。
この性質の特徴として、自分は自分の損失をかえりみず社会性を優先しているのに、それが正当に評価されなかったり、不公平な仕打ちを受けると、途端に豹変することが多いのです。
別の言い方をすれば「いったん怒らせると何をするかわからない」のです。
政治家の失言や芸能人の不倫を執拗にバッシングする行動は、この脳のしわざです。
協調性を重要視する脳は、ルール破りに過剰反応しがち。
バッシングしている本人は、社会性を無視するヤツを懲らしめる正しい行動だと思っているので、脳に快感が起こり、やめられなくなるのです。
女性の生きづらさの正体とは?
一般的に考えられている「男らしさ」「女らしさ」
ステレオタイプの”らしさ”に苦しんでいるのは、男性よりも圧倒的に女性かもしれません。
※人間関係に悩んでいる女性には特に読んでほしいです!
美人は仕事で損をする
女性は仕事上で、容姿の良さがマイナスに働くとのこと!
なぜ?
本書によると・・・
外見の良い男性は (中略) 力強く、職務遂行能力が高く、決断力がある、などとみなされるので、仕事上の評価には外見の良さが有利に働きます。
一方、女性はそうではありません。「女性的」であることは少なからず消極的であり、堂々としておらず、意欲や決断力に欠け、セクシーすぎる、と偏見をもたれてしまいます。あるいは、そうであるべきだという暗黙の圧力が、異性からばかりでなく同性からも加えられます。
(出典:空気を読む脳(中野信子著))
美しくて仕事もできる人、たくさんいるけど。
しかしさらに追い打ちをかける文章が!
そのステレオタイプに当てはまらない、容姿に優れた女性がいたとすると、周りから「性格が悪い」だの「結婚しない」だの「子どもを作らない」だのと攻撃され、いつの間にかステレオタイプ的に振る舞うように社会が彼女を「洗脳」していくのです。
(出典:空気を読む脳(中野信子著))
コロンビア大学ビジネススクールの調査結果です
外見の良い女性に有利な職種
・高給の事務職
・コミュニケーション能力が必要とされる職種
外見の良い女性に不利な職種
・管理職
女性が出世していくには、できるだけ自分を「女性としての無力に乏しく」「男性的に」見せる必要があるとのこと。
これを読んでどう思いますか?
・
・
働く女性を苦しめる原因の一つは、世間のこういった見方でしょうね。
バストが大きいと「頭が悪そう」
私は本書でこの部分を読んだとき、とっさに「低レベル!!」と呆れました。
でもプリンストン大学の有名な研究といわれたら素直に聞くしかありません。
1980年に発表された研究結果
プロフィールは同じで、バストサイズだけが違う3種類(バストが小さい、中くらい、大きい)の写真付き書類を用意。
すると・・・?
被験者たちは、バストの大きい女性に対してだけ、知的・潜在的能力を低く評価した。
2002年の研究結果
女性が6分間公演しているビデオを大学生の被験者に見せる。
女性は中肉中背、セーターを着用。
バストサイズだけが異なりA、B、C、Dカップの4種類。
動画を見た者たちの反応は・・・?
男性被験者たちは、Dカップの女性に対してだけ、知的・潜在的能力を低く評価した。
女は”使い勝手”が悪い
体育会系の男子は就活で高評価。
なぜなら彼らは非常に”使い勝手”が良いからです。
企業が考える”使い勝手”とは?
上意下達の組織内で上の命令を絶対とし、言葉として明示されない意思を忖度する能力(空気を読んで行動できる力)の高さ。
学校では教育されず、成績への評価もないのだが、多くの企業で学歴や本来の職能以上に重視されることが多い。
ふむふむ。言いたいことはわかります。
だからって、なぜ女はダメなの?
医大の入試で女性差別の問題が露見したことがあります。
あれは日本社会全体に存在する大きなひずみが端的に現れたといえます。
読めないタイミングで結婚し、出産し、育児をする女性は、企業や組織からすると”使い勝手”が悪いと評価されがちです。
女性だというだけで一括りで見られてしまうのは理不尽ですよ~。
結婚圧力
「そんなんだとお嫁にいけないよ。」
それ、脅迫です! 呪いの言葉ともいえます。
そのせいでしょうか。
結婚を考える年ごろになったとき、本当に結婚したいのかどうかはさておき
「世間の人に結婚できないと思われたくないから婚活する」とか
「結婚すれば周りに何も言われなくなるから、結婚したい」とか。
日本では結婚圧力が強い地域がまだまだ多いようです。
男性にも圧力はあるでしょうが、女性のほうが強そうですね。
これも多分、女性個人個人に向けられたものというよりは、脳がそうさせている部分が濃厚なのだそうです。
「らしさ」の呪縛とでもいいましょうか。
毒親
少し前から日本でよく聞かれるようになった「毒親」
子どもを支配しようとしたり、レールを敷きたがり、子どもが逸脱しそうになると過干渉する親のことです。
「こうあるべき」の押しつけです。
母娘間に多いみたいですね。
家庭内の人間関係でのストレスはきついですね。
職場や学校と違って逃げ場がありません。
毒親も脳内ホルモンが原因。
オキシトシンといって、人と人との絆を作る物質で、愛と信頼のホルモンという呼び方もある。
これが増えると妬みや憎しみといった逆の感情も強まるため「かわいさ余って憎さ100倍」ということになる場合もある。
上手につきあいたいな。
頭がいい子どもが感じているつらさとは?
質問です。
子どものテストの結果がでました。あなたはどんな声かけをしますか?
①「本当に頭がいいんだね」とほめる。
②「努力のかいがあったね」とほめる。
③ 何のコメントもしない。
ベストな声かけはどれなのでしょうか?
子どものほめ方にはコツがある
答えは②です。
その理由は?
努力・工夫・時間の使い方を認められると、子どもの自己肯定感が高まり、さらなる挑戦意欲がわきます。
子どもの才能を伸ばしたいのなら②のほめ方をしましょう。
逆に①のように頭の良さや才能をほめられると、子どもの能力は下がってしまうんだそうです。
「頭がいい」と言われて育った子どものつらさとは?
ここで驚きの事実をお伝えしなければなりません。
①の「頭がいいね」とほめられた子どもは、③の何も言われなかった子どもよりも成績が下がったのです。
この結果は想像していませんでした。
③よりも下になっちゃうなんて意外だと思いませんか?
しかし読み進めていくと納得の理由がありました。
◎「頭がいい」とほめられた子どもは、自分は頑張らなくてもよくできるはずだと思うようになり、必要な努力をしようとしなくなる。
◎「本当の自分は頭がいいわけではないが、周囲には頭いいと思わせなければならないと思い込む。
◎頭がいいという評価から得られるメリットを維持するため、ウソをつくことに抵抗がなくなる。(例:本当の成績より良い点数を報告する。)
◎実際に悪い成績をとると無力感に襲われる。
◎難しい問題に歯が立たないと、頭がいいという外部からの評価と矛盾するのでやる気をなくす。
◎頭がいいという評価を失いたくないために、確実に成功できるタスクばかりを選択し、失敗を恐れる気持ちが強くなる。
気持ちを想像するとつらくなってきました・・・
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ずっと悩んでいたことや疑問に思っていたことは、実は脳のしくみが原因だったんだと気づいた点はありましたか?
日ごろ感じていた生きづらさは自分に原因があるのではないとわかって、少し肩の荷は軽くなりましたか?
本書は脳科学の観点から、日本人の心性をわかりやすく解説してくれる本です。
脳のしくみを理解すれば、この生きにくい世の中を生きていくための手助けとなる部分がきっと見つかると思います。
この記事ではお伝えしきれなかった興味深い内容は、まだたくさんあります。
たとえば
☑留学などに挑戦する人が減ったのはなぜか?
☑なぜ13年連続でイグノーベル賞をとれたのか?
☑ご褒美をもらえるほうが人はやる気がでるのか? などなど。
脳の中には私たち自身を読み解くカギがいっぱいあるんですね。
最後までお読みくださりありがとうございました。