読書

【読書感想】芥川賞受賞『おいしいごはんが食べられますように』の魅力は?

 

第167回芥川賞受賞作『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子著)を読みました。

 

ほのぼのとした癒し本かと思いきや

ホラー小説でした!!

 

題名とのギャップが大きすぎ。

 

この記事を読んでほしい方

● 職場でストレスがある方

● 会社への不満や怒りがある方

● 「食」に関心がもてない方

● 人間の暗部に興味がある方

● しばし現実を忘れ、小説内部の世界に浸りたい方

● 最後モヤモヤして終わる小説でも大丈夫な方(=ハッピーエンド小説じゃなくてもOKな方)

 

 

『おいしいごはんが食べられますように』は会話部分が多く、聴く読書に最適です。

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『おいしいごはんが食べられますように』の登場人物たち

主要な登場人物は3名。包装紙会社の同じ支店で働いています。

登場人物

● 二谷(男):それなりに仕事はできる。人間関係でもうまくやっている。食に興味がない。

● 芦川(女):全然仕事ができないが、体が弱くかわいいので、みんなから守られている。料理上手。職場に手作り菓子を持参し、みんなに配る。

● 押尾(女):仕事ができて、要領がいい。がんばり屋。芦川のしりぬぐいをさせられることが多い。感情を表に出す性格。

 

『おいしいごはんが食べられますように』の魅力①:職場にいる「困った人」に共感させられる

あなたは職場でいらいらすることはありますか?

すぐ紙詰まりを起こすコピー機とか、調子が悪いコンピューターはイラつきますよね

 

でも、苛立ちの原因のは「人」ではないでしょうか?

 

本書には、職場にいる困った人が描かれています。

 

むかついても仕方ないと分かっているのにむかつく。
平等に扱われるなんてことは無理だ。会社の上司は特別な訓練を受けた教職者ではないのだから、えこひいきをする。

藤さんが、誰でもみんな自分の働き方が正しいと思っているんだよね、と言った。
無理せず帰る人も、人一倍頑張る人も、残業しない人もたくさんする人も、自分の仕事のあり方が正解だと思っているんだよ。

(引用:おいしいごはんが食べられますように(高瀬隼子著))

 

みんな自分の仕事のあり方が正しいと思っていいるというのは腑に落ちた。
芦川さんは無理をしない。できないことはやらないのが正しいと思っている。
私とは正しさが違う。
違うルールで生きている。

(引用:おいしいごはんが食べられますように(高瀬隼子著))

 

体調が悪いなら帰るべきで、元気な人が仕事をすればいいと言うけれど、それって限られた回数で、お互いさまの時だけ頷けるルールのはずだ。
結局我慢する人とできる人とで世界がまわっていく。

(引用:おいしいごはんが食べられますように(高瀬隼子著))

 

仕事ができないのにみんなに守られている芦川さんは、職場で苛立っているところを決して見せません。
それはそれでスゴイのですが(私にはできない)。

誰かを睨みつけることも、人に聞かせるためのため息をつくことも、受話器を乱暴に見えないぎりぎりの手前の雑さで戻して音を立てることもしなかったし、忙しい時に声をかけられても、まるで聞こえなかったかのように一拍置くことも、パソコンのほうを向いたまま暗い声で返事をすることもなく・・

(引用:おいしいごはんが食べられますように(高瀬隼子著))

 

 

「職場あるある」が丁寧に描かれています。

 

『おいしいごはんが食べられますように』の魅力②:食事に対する価値観の違いがおもしろい

生きるために必須である食事。

食に対する価値観の違いが描かれていて、おもしろいです。

 

食の価値観

● 二谷(男):食に興味がない。腹が膨れればいい。毎日カップ麺でも構わない。食事に使う時間は他のことに使いたいと思っている。

● 芦川(女):食事は手作りじゃないとダメと考えている。「おいしいごはん」の正義を二谷に押しつけ、手作りの食事を振る舞う。職場に手作り菓子を持参して配る。

● 押尾(女):気を使わない相手とおいしいものを食べるのが好き。早退した翌日に手作り菓子を持ってくる芦川に反感をもっている。

 

あなたは食事は手作りじゃなきゃダメと思いますか?

”おいしいごはん=正義”だと思いますか?

 

手作りの食事、手作りのお菓子の芦川が、本書では不気味に描かれています。

 

丁寧な暮らしをしている彼女がなぜこれほどまでに不気味なのだろう?

 

『おいしいごはんが食べられますように』の魅力③:同調圧力が強くて笑える

✅善意の押し売り

✅忖度

✅同調圧力

 

本書のあちこちに出てきて読者をモヤモヤさせます。

 

たとえば
芦川は早退した翌日に手作りお菓子を持ってきます。

受け取るときにみんな精一杯ほめたたえ、
食べながら必要以上においしいと言い・・・

 

早退したんだから家でゆっくり体調を整えるべきなのではないか?

お菓子を作れるくらい元気だったんなら、仕事をできたのではないか?

 

なぜお菓子を持ってくるのか?
早退して申し訳ないからなのか?
みんながおいしいと言ってくれることで自己肯定感を得られるからなのか?

 

みんな忖度や同調圧力で本音が言えません。

 

『おいしいごはんが食べられますように』筆者のインタビュー

高瀬隼子氏のインタビューを引用します。

この小説を書いた理由を述べています。

多くの会社には、毎日とんでもない時間まで残業をしている人が一定数いて、声を上げてもいいはずなのに、何とかこなしてしまう。

家庭においても同じです。同世代で育児をしている人も多いのですが、一人で仕事に子育てにとボロボロになっています。
パートナーがいるのなら「半分やって」というのは当然だと思うのですが、それも言わずワンオペ状態ですべてをこなしてしまう。

そんな、能力的に「できてしまう」一部の人によって職場や家庭が機能している現実があります。
彼らはなんとか持ちこたえるから、「大丈夫な人だ」と思われてしまうけど、必ずしも喜んでやっているわけではない。
その内面にある「呪い」を書きたかったのです。

 

この小説がホラーだと思った原因がわかりました。

呪いの小説なのだ!

 

普段の生活では口に出せない「呪い」を代弁してくれているのですね。

 

 

 

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今回は以上です。

ありがとうございました。

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ゆきねえ

こんにちは、ゆきねえです。50代です。これまで人生で頭を悩ませたこと、試行錯誤したことなどを綴りたいと思いブログを開設しました。 教育産業に携わって約25年なので、その方面の話題が多くなると思います。 よろしくお願いします。

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