「非行少年は普通の子とは違う」と思っていました。
でもその固定観念は間違いだと知ることに・・・。
ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治著)
衝撃的なタイトル!
さっそく読みました。
「自分には関係ない世界の話だろう」と思いながら。
読後の感想は?
非行少年を特別視していたことを反省しました。
彼らと私に共通することがたくさんあったのです。
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子ども達が発するSOSサインは?
本書で筆者は子どもが発するSOSのサインを挙げています。
・感情コントロールが苦手ですぐにカッとなる
・人とのコミュニケーションがうまくいかない
・集団行動ができない
・忘れ物が多い
・集中できない
・勉強のやる気がない
・やりたくないことをしない
・嘘をつく
・人のせいにする
・じっと座っていられない
・身体の使い方が不器用
・自信がない
・先生の注意を聞けない
・その場に応じた対応ができない
・嫌なことから逃げる
・感じがなかなか覚えられない
・計算が苦手
(出典:ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治著))
17項目中、自分にも当てはまると思った項目はありましたか?
これらは少年院にいる非行少年の小学校時代の特徴だそうです。
ご自分の小学校時代を思い返してみてください。
通知表などにふつうに書かれそうなことだと思いませんか?
少年院に入るような子どもたちの生活が特別ひどいのではない。
彼らはこう言ったサインを小学校・中学校にいるときから出し続けていたのだ。
まわりの大人がサインに気づかず、適切な手助けが受けられなかったのだ。
サインの出し始めは小学校2年生から
非行少年たちの成育歴を見ると、サインはだいたい小学校2年生くらいから見え始めると著者の宮口氏は言います。
小・中学校時代の問題は?
先ほどの17項目以外では
☑勉強についていけない
☑遅刻が多い
☑宿題をしてこない
☑友達に手をあげる
☑万引きする
そんな彼らは、友だちからバカにされたり、からかわれたり、いじめられたりします。
親や先生からは「手がかかるどうしようもない子だ」と問題児として扱われてしまいます。
卒業後の問題は?
学校にいる間は大人たちの目があるので比較的支援が受けやすいのですが、卒業後は状況が変わります。
本人が支援を求めないかぎりは助けが得られません。
するとどうなるか?
仕事が続かず、人間関係がうまくいかず、引きこもったりして社会から忘れられていく可能性がでてくると宮口氏は述べます。
子どもの問題を保護者が理解せず、適切な支援が遅れ、深刻化するケースも多いそうです。
14%の根拠は?
「SOSのサインに気づいてもらえず、生きづらさを抱えながら生きている子どもたちは14%いる」と宮口氏は言います。
その根拠とは?
現在、一般に流通している「知的障害はIQが70未満」という定義は、実は1970年代以降のものです。1950年代の一時期、「知的障害はIQ85未満」とされたことがありました。IQ70~84は、現在では「境界知能」と言われている範囲にあたります。
(中略)
IQ70~84の子どもたち、つまり現在でいう境界知能の子どもたちは、依然として存在しているのです。
彼らは知的障害者と同じくしんどさを感じていて、支援を必要としているかもしれません。では、これらの子どもたちはどのくらいいるのでしょうか。知能分布から算定すると、およそ14%いることになります。つまり、現在の標準的な1クラス35名のうち、約5人いることになります。クラスで下から5人程度は、かつての定義なら知的障害に相当していた可能性もあったのです。もちろん話はそんな単純ではありませんが、現在の学校では、このようにクラスで下から5人の子どもたちは、周囲から気付かれずに様々なSOSのサインを出している可能性があるのです。
(出典:ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治著))
ADHD、ASD、LDなど診断がついていれば周囲からの理解が得やすいですが、困っているにもかかわらず診断がつかないため、彼らは人知れず悩むのだそうです。
「知的には問題なし」となると、
・怠けている
・性格の問題
・育て方に問題がある
などとされてしまうのです。
非行少年に共通する5つの特徴とは?
著者の宮口氏は、これまで少年院で数百年の非行少年と面接をしてきた児童精神科医です。
非行少年に共通する特徴があるとのこと。
☑認知機能の弱さ・・・見たり聞いたり想像する力が弱い
☑感情統制の弱さ・・・感情をコントロールするのが苦手。すぐキレる
☑融通の利かなさ・・・なんでも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い
☑不適切な自己評価・・・自分の問題点が分からない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる
☑対人スキルの乏しさ・・・人とのコミュニケーションが苦手
(出典:ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治著))
この中で
「融通の利かなさ」と「対人スキルの乏しさ」について詳しくみていきたいと思います。
融通の利かなさ
言いかえると「頭が硬い」こと。
何か問題が起こったとき、人は解決策をいろいろ考えて、状況に応じて適切に選択し、対処する必要があります。
しかし頭が硬いと、解決策が1つか2つしか浮かばず、それが最適かどうかわからないのに行動してしまいます。
過去に同じ失敗をしていたとしても、何度も同じ間違いをしてしまうのです。
冷静さを失いパニック状態になるとだれでも頭が硬くなるかもしれません。
対人スキルの乏しさ
対人スキルが弱い子どもたちが特に困ることが2つあるそうです。
①嫌なことを断れない・・・悪友からの悪い誘いを断れないなど
②助けを求めることができない・・・イジメにあっても他者に助けを求めることができないなど
NOとかHELPを他人に伝えるのは難しいです。
生きづらさを抱える子どもたちに大人ができること
小さなころから多少の兆候はあったはず。
SOSのサインをまわりの大人たちが気づけないといけないと思いました。
その子にとって適切な手助けを可能にするためにも。
「この子はどこで行き詰まっているのかな?」
先入観を捨て、丁寧に考えていかねばと感じました。
全身全霊でSOSサインを送っていたのにわからなかった!なんて悲しいことのないように。
最後までお読みくださりありがとうございました。