読書

【東京奇譚集より】村上春樹の名言

読書が好きです。

心が震える言葉に出会うと、それを記憶にとどめておきたい・・・

 

今回は村上春樹氏の『東京奇譚集』です。

 

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『東京奇譚集』村上春樹の名言①

手術を控えて悩む女性へ、主人公の男性がアドバイスする言葉です。

かたちのあるものと、かたちのないものと、どちらかを選ばなくちゃならないとしたら、かたちのないものを選べ。

それが僕のルールです。

(出典:東京奇譚集より「偶然の旅人」(村上春樹著))

 

さらに男性は続けます。

壁に突き当たったときにはいつもそのルールに従ってきたし、長い目で見ればそれが良い結果を生んだと思う。

そのときはきつかったとしてもね

(出典:東京奇譚集より「偶然の旅人」(村上春樹著))

 

会話は続き・・

「そういわれても、今の私にはよくわからない。

いったい何にかたちがあって、何にかたちがないのか」

 

「そうかもしれない。でもそれはたぶん、どこかで選ばなくちゃならないことなんです」

(出典:東京奇譚集より「偶然の旅人」(村上春樹著))

 

むずかしい選択をしなければいけないとき、
人生の岐路に立っていると感じたとき、

思い出したいです。

 

『東京奇譚集』村上春樹の名言②

ある複雑な事情で、長い間音信不通だった姉と弟。
久々の再会で、当時の胸の内を語る弟。

 

説明なんかしたくなかったんだ

いちいち説明しなくても、わかってもらいたかったんだと思う。とくに姉さんにはさ

(出典:東京奇譚集より「偶然の旅人」(村上春樹著))

 

無言の姉。
彼はさらに続けます。

まわりの人たちの気持ちなんて、そのころの僕には何ひとつ考えられなかったんだ。

そんなことを考える余裕はとてもなかった

(出典:東京奇譚集より「偶然の旅人」(村上春樹著))

 

泣き出したいのを抑えながら彼はさらに・・・

短い間に僕の人生はがらっと変ってしまったんだ。

そこから振り落とされないように、なんとかしがみついているのがやっとだった。

すごくおびえていたし、怖くてたまらなかった。

そんなとき、他人に説明なんてできない。

世界からずり落ちていくような気がした。

だから僕はただわかってもらいたかったんだ。

そしてしっかり抱きしめてもらいたかった、

理屈やら説明やら、そんなものは抜きで。

でも誰ひとりとしてーー

(出典:東京奇譚集より「偶然の旅人」(村上春樹著))

 

ここでやっと姉は肩を震わせ泣きながら「ごめんなさい」と言うのです。

長い時間が経ち、やっと姉と弟が和解した瞬間です。

 

「自分のことを理解しててほしい」
若く未熟な者が放つ無言の叫びをキャッチできなかった悲しさに胸がつぶれました。

 

『東京奇譚集』村上春樹の名言③

ひとり息子がハワイでサーフィン中に死亡してしまいます。
亡き息子を引き取りにその地を訪れた母親の思いです。

輪郭のあることは何ひとつ考えられない。重みを持つ過去は、どこかにあっけなく消え失せてしまったし、将来はずっと遠い、うす暗いところにあった。

どちらの時制も、今の彼女とはほとんどつながりをもっていなかった。

彼女は現在という常に移行する時間制の中に座り込んで、彼とサーファーたちによって単調にくり返される風景を、ただ機械的に目で追っていた。

今の私にいちばん必要なのは時間なのだ、彼女はある時点でふとそう思った。

(出典:東京奇譚集より「ハナレイ・ベイ」(村上春樹著))

 

数年前の自分自身と同じ気持ちだな・・・・

 

 

 

備忘録にお付き合いいただきありがとうございました。

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ゆきねえ

こんにちは、ゆきねえです。50代です。これまで人生で頭を悩ませたこと、試行錯誤したことなどを綴りたいと思いブログを開設しました。 教育産業に携わって約25年なので、その方面の話題が多くなると思います。 よろしくお願いします。

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