村山由佳さんの『放蕩記』を読みました。
母と娘の愛憎を描く、村山さん自身の自伝的小説です。
母娘だけではなく、家族との関係に悩む人にとっての名言がたくさんありました。
いくつかご紹介したいと思います。
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【名言】母との関係
言葉ーー。言葉の、暴力。
どうだろう。かつて夫だったひとから、いわゆる罵詈雑言の限り限りをつくされた覚えはない。けれどそのわりには、彼の口から出る言葉にひどくおびえていたのは確かだった。いつも、身構えていた。何か言われたくないことを言われて傷つく前に回避しようと、常に先回りして下手に出ていた。常に先回りするためには、常に顔色をうかがわなくてはならなかった。
(中略)
おびえて・・・身構えて・・・先回りして夫の顔色をうかがう自分。その夫の顔が、じわじわと溶けてにじみ、美紀子の顔に重なってゆく。
いったい、あの母親の何にそれぼどおびえていたのだろう。
(出典:放蕩記(村山由佳著)
相手から否定されることへの怖れが、常に夏帆の口をつぐませるのだ。まだ犯してもいない罪への罰のように。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
【名言】夫との関係
相手を少しでも不機嫌にさせるのが怖くて、誰の前でも反射的にいい人ぶってしまう。自分さえ我慢しておけばすべては丸く収まるのだとばかりに、言いたいことは言わず、ひそかにストレスを溜めこみ続ける。かといって永遠に我慢できるわけもなく、溜まりに溜まったストレスはやがて突然に限界点に達し爆発する・・・・。
そうやって何度か、大切なはずの人間関係を壊してしまったことがあった。別れた夫との関係もその一つだった。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
一度目の結婚をまっとうできなかった夏帆にとって、このあとを共に暮らす男に望むのは経済力でもなければ社会的地位でもなかった。ヒトの牝として、強い牡のかたわらで安らげるかどうか。毒々しくも哀しい下着で引き出しをいっぱいにしなくても、気持ちの上で女でいさせてくれるかどうか。その部分さえ満たしてもらえるならば、ほかの欠点がたとえ山と積みあがっても、目をつぶっていられる。この世に完全な女などいないのと同じように、完全な男も存在しないのだから。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
【名言】恋人との関係
自分たちの恋愛をどれだけ豊かなものにできるかは、お互いの想像力と創造性にかかっている。世の賢しらな人々は「映画みたいな恋なんてあるわけがない」と言うけれど、もとより、何の努力も作為もなしにドラマティックな恋愛ができるわけない。
誰もが一度は憧れるような、切ない痛みを伴う恋をしようと思ったら、言葉も行動も慎重に選んで積みあげていかなければならないのだ。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
自分の心が前とはすっかり変わってしまっていることに気づいて、夏帆は茫然となった。相原を見ても、嬉しくならないのだ。気持ちが動かない。認めたくはないが、それが現実だった。
それでも、相原との間に積みあげた思い出の山を崩してしまうのはつらすぎる。まだ何か、この恋愛を存続させる方法があるのではないか。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
杉山へと心が動いたのは、寂しいときに彼のほうが近くにいたからだ。それなら、相原のテリトリーに身を置いて、以前のように二人きりで密度の濃い時間を過ごし、彼のことだけ考えながらたっぷり抱かれれば、気持ちも元に戻るのではないかと思った。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
【名言】父との関係
父が同僚の女性と浮気をしているというのはおそらく事実なのだろう。それを褒められたことだとはもちろん言わない。父の不実を恨めしく思う気持ちは、娘である夏帆の中にもある。
だが、この母から得られないものーーーいたわりとか、安らぎとか、微笑みとか、そういった種類の柔らかなな何かを、ひととき他で得たいと願ってしまった父を責めることはできない気がした。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
人間関係すべてに通じる名言
人生に起こることが<どのようであるか>は、結局のところ本人がそれを<どのようであると認識するか>でしかないのだし、人は誰しも、自分が<このようであろう>と思う現実の中で生きていくしかないのだ。
現実の向こう側に隠された真実を知ることが、必ずしも幸福につながるとは限らない。真実が物事の本質であるとも限らない。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
飢えは、痛みと同じだ。こらえることはできても、感じないでいることはできない。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
ほんのささやかな満足をもたらしてくれる言葉や、折にふれて微笑みあうことのできる時間ーーーそんなふうな、あくまでも小さなものたちの寄せ集めこそ、ひとが幸福と呼ぶものの本質なのかもしれない。それ以上を、望もうとするから苦しくなる。あって余禄、なくて当然と思い定めておくくらいがちょうどいいのかもしれない。
(出典:放蕩記(村山由佳著))
期待するから失望するんじゃない。だったら最初から期待しなけりゃいいじゃない。見たくないものを見せつけられたり、聞きたくないことを無理に聞かされたりしてうんざりするのがいやなら、いっそのこときれいさっぱい見切りをつけちゃえばいいだけの話なのに、毎度毎度、こりずに傷ついている私が馬鹿なんだよ
(出典:放蕩記(村山由佳著))
親子関係に限らず、人間関係には悩みはつきもの。
私自身、いまも昔も悩みのほとんどが人間関係です・・・・
この記事では私の心に刺さった名言のみご紹介しました。
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