2020年本屋大賞受賞『流浪の月』(凪良ゆう著)を読みました。
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小説『流浪の月』のあらすじ
最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。
だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。
(引用:東京創元社 『流浪の月』特設ページ)
広瀬すず&松坂桃李で映画化されました。 他に横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大・・・豪華な俳優陣です。広瀬すずのベッドシーンが話題になりました。
小説『流浪の月』3つの魅力は?
※未読の方のためネタバレしないよう注意します。
魅力①:「善意とは?」「善意のつもりが実は人を傷つけているのかもしれない」とわが身を振りかえるきっかけをくれる
善意で行っている行動のはずなのに、当事者にとっては必ずしもそれがありがたいものとは限らない。
小説中でそんな出来事が次々と起きます。
「幼いころに誘拐にあったかわいそうな被害者」というレッテルを貼られた主人公。
周りの人は彼女のことを思って善意を向けてきますが、当の本人にとっては反対に心が傷つけられるものばかり。
はて?私はどうなんだろう?
私が善意のつもりで行った行動って、本当にその人の為になったのか?
却って傷つけたことはなかっただろうか?
実は私の単なる自己満足なだけだったのではないか?
白い目というものは、被害者にも向けられるのだと知ったときは愕然とした。いたわりや気配りという善意の形で、『傷物にされたかわいそうな女の子』というスタンプを、私の頭から爪先までべたべたと押してくる。みんな、自分をやさしいと思っている。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
自分自身の行動を振り返るきっかけとなりました。
多くの人の中にある『力なく従順な被害者』というイメージから外れることなく、常にかわいそうな人であるかぎり、私はとても優しくしてもらえる。世間は別に冷たくない。逆に出口のない思いやりで満ちていて、わたしはもう窒息しそうだ。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
魅力②:「事実と真実は違う」特にネットの情報を鵜呑みにしてはいけないと気づかせてくれる
主人公の更紗は、9歳のときの少女誘拐事件の被害者として、文はロリコンの少女誘拐犯として世間からレッテルを貼られます。
2人ともそれが原因で生きにくい人生を送っています。真実は違うのに・・・。
事実=少女誘拐事件の被害者と加害者
真実=お互いがお互いを必要としている存在
恋人ができてやっと幸せになれると思ったのに
職場で一生懸命仕事しているのに
ネットの情報で過去を知られてしまい、人生がうまくいかない主人公たち・・・
本当のことは当事者たちにしか分からないのに。
デジタルタトゥーとはなんと恐ろしいモノなのか。
人生を大きく狂わせるくらいの壮絶な力を持っているのです。
どれだけ口を閉ざしても、わたしの名前はわたしを自由にはしてくれない。インターネットに漂う情報に襟首をつかまれ、小、中、高、アルバイト先、就職した会社でも、私が『家内更紗ちゃん誘拐事件』の被害女児であることは必ず広まった。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
魅力③:内容が重いのに後味は良い
苦しくて悲しい場面ばかりなのですが、後味がよいのです。
その理由は、作者の文章が美しいから。
作者の筆力がすさまじいから。
『流浪の月』名言集
世の中に『本物の愛』なんてどれくらいある?よく似ていて、でも少し違うもののほうが多いんじゃない?みんなうっすら気づいていて、でもこれは本物じゃないからとすてたりしない。本物なんてそうそう世の中に転がっていない。だから自分が手にしたものを愛と定めて、そこに殉じようと心を決めるそれが結婚かもしれない。
(中略)
わたしは、自分がなにに幸せを感じるのかよくわからない。様々に降りかかる嫌なことから心を守っている間に、わたしは自分の輪郭をどんどんぼらけさせてしまった。自分がなにに傷つき、なにに歓び、なにに悲しみ、なにに怒るのか。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
昔は楽しかったななんて思っちゃいけない。だって今が不幸みたいじゃないか。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
世界はどうしようもないことであふれているから、理不尽さに憤っても消耗するだけだ。だから深く考えないよう気持ちを薄くしてやり過ごすしかない。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
どんな痛みもいつか誰かと分けあえるなんて嘘だと思う。わたしの手にも、みんなの手にも、ひとつのバッグがある。それは誰にも代わりに持ってもらえない。
(出典:流浪の月(凪良ゆう著))
まとめ
世間が「普通」とする常識の不確かさを描く作者のテクニックは、一読の価値アリ!
日常から離れて、本の世界にどっぷりつかれる時間を求める方にぜひ手にとってほしいと思います。
広瀬すず&松坂桃李で映画化されました。映画を先に観るのもアリです。
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